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中国の焼酎事情

 川畑 大介

 日本国内ではここ数年焼酎の出荷量が増加し、安定した需要に支えられている。特に芋焼酎については原料である芋不足という問題もあるが、今後も安定した需要・供給が見込まれる。中国国内においても焼酎の消費量は増加傾向であり、今回は中国における焼酎事情について述べてみたい。

 中国国内の日本料理店で最近よく目にするのが焼酎である。これまでの無色に近い焼酎瓶も赤や青など人目を引くものが増えている。海洋深層水を使用したものなどさまざまな銘柄が店先に並ぶようになっている。このように多くの銘柄の焼酎が日本料理店で並ぶようになったのも、焼酎製造元の対中国輸出戦略と、中国国内の商社・卸売販売業の積極的な販促に、顧客のニーズがマッチングしたためである。日本人駐在員数の増加も直近5年間で2.5倍増と著しく、短期出張者も含め今後も重要なマーケットとして期待できそうである。
 中国国内で積極的販売を行っている大分県の麦焼酎「いいちこ」や、鹿児島の芋焼酎「白波」など多くの銘柄が流通している中で、駐在員を常駐させ販促活動を展開している酒造会社もあるなど、マーケット競争が本格化してきている。卸・小売の流通だけでなく代金回収代行も行っている日系業者もあるなど、酒造メーカーが進出しやすい環境となりつつある。
 日本料理店向けに主に鹿児島の焼酎を扱う卸業者によると、幅広い銘柄で焼酎の引き合いが高まっているという。720mlのハーフボトルが料理店で250元(約3,200円)で販売されているにも関わらず多くの注文があるという。また日本人向けスーパーでも焼酎の取り扱いが急増しており、日本産においては多くの銘柄が並んでいる。価格も日本で購入するより割高ではあるが、売れ行きは好調で補充が間に合わない銘柄もあるとのこと。   中国産焼酎はまだまだ銘柄こそ少ないが、価格は日本産の価格の5割程度であり、売り行きも好調であるという。 

 中国国内でも順調に消費量を伸ばす焼酎ではあるが、日本国内での焼酎の原料不足、特に芋については深刻であり、輸入による調達を行っているところもあるという。山東省では積極的に芋の生産を行っており、日本向けの輸出を行うなど芋ビジネスを活性化させている。一部の工場ではISO9001を取得するなど生産品質も高い。その為深刻な芋不足である日本からの引き合いも多く、工場も増産・増設しているという。

 焼酎は輸出だけでなく、最近では輸入量も確実に増加している。国税庁の種類関係情報によると、焼酎の輸入量は98年が42,842KLであったのが03年には82,529KLと約2倍の伸びを示している。輸入額についても同様であり、国内で輸入焼酎が受け入れられている。安定した焼酎人気により全国的に需要が増加しているため、供給が追いつかない現状では輸入焼酎の需要も必然的といえるのであろう。今後日本国内でも外国産焼酎輸入量が増加していくなかで、中国産焼酎の輸入も増加していくものと思われる。



 中国国内における焼酎消費量は増加傾向であるといっても、日本国内の消費量に比べれば低いものである。中国人社会においても焼酎が浸透しているとはいえず、急激な内販需要が見込まれるとは考えにくい。しかし日本国内で焼酎消費量が急激な伸びを示したのは、これまで消費していなかった人が焼酎の良さを知り、リピーターとなっていることも一因である。したがってもともと度数の高い白酒(焼酎と同じ蒸留酒)を好む中国人が、一度焼酎の味を知ると内販需要が起こる可能性も秘めているのではないだろうか。お茶王国である中国で日系のお茶飲料の需要が年々高まっていることからも、焼酎の消費拡大の可能性も否定できるものではない。